今回は図面の話ではありません。人の育て方の話です。
『質問の魔力』という本を読んでいます。まだ読み終えていません。ただ、読み進めながら考えたことがあるので、ここに書いておきます。
これは、そういう生き物なのだと思います。聞かれれば考えるし、考えれば何かしら答えが出てくる。逆に言えば、質問されなければ考えないということでもあります。
だから質問は、相手の思考のスイッチを外から押す行為です。押し方次第で、その後に出てくるものが変わります。
浅い質問には、浅い答えしか返ってきません。質問の質が高ければ、答えの質も高くなる。単純な話ですが、これがそのまま結果に出ます。
相手の答えが薄いとき、原因を相手に求めたくなります。しかし多くの場合、薄い答えしか出ないような聞き方をしているのはこちらです。
初めから質の高い答えを質問者が与えてしまうと、相手は考えません。考えないので、身につきません。
だから成長を促すには、自ら答えを考え、導き出してもらうことが大切だと私は思っています。
答えを知っているのだから教えた方が早い、というものも確かにあります。安全に関わることや、手順が決まっていることはそうです。それはそれで必要です。すべてを問いかけで済ませようという話ではありません。
問題は、そのバランスです。教える方が早いからと全部を教え続けると、いつまでも指示待ちのままになります。自ら考え、主体的に行動してもらえるようになるかどうかは、上に立つ者の日頃の関わりで決まります。
質問は、できるだけ掛け算でしたいと考えています。
足し算でも構いません。ただそれは、昨日の延長線上に今日があり、その先に未来がある——という進み方です。悪くはないのですが、本人がイメージする成長の域を超えません。
「次はどうする?」「何が足りなかった?」。こうした問いは、今の自分の延長で答えられてしまいます。
掛け算の質問とは、自分と向き合わないと答えられない質問です。
答えに詰まって黙り込む。その沈黙が起きたとき、相手は初めて自分の内側を探しています。そこから出てきた答えは、こちらが用意したどんな正解よりも強い。本人が自分で見つけたものだからです。
私はコーチもしています。その立場から言うと、質問はセッションの良し悪しを決める大事な要素のひとつです。
どんな質問をするかで、クライアントの可能性は開かれます。でも逆に、閉ざしてしまうこともある。
「なぜできなかったの?」と聞けば、相手はできなかった理由を探します。「どうすればできそう?」と聞けば、できる方法を探します。同じ場面でも、向く方向がまるで変わります。質問とは、それくらいインパクトのあるものです。
「図面を描ける人材が育たない」とよく言われます。ただ、私はそこが本当の問題だとは思っていません。
この業界は、CAD操作ができて参考図面さえあれば、何となくで描けてしまいます。それはそれで良いと思っています。形にはなりますし、現場は回ります。
問題はその先です。企業として本当に欲しいのは、描ける部下ではありません。自走する部下です。数字を自ら創造する部下です。
そこが育たないと、社長はいつまで経ってもプレイヤーから降りられません。自分が動かなければ数字が立たないからです。
そして自走できるようになるかどうかは、日頃の関わりで決まります。参考図面を渡して「これに似せて描いといて」で済ませれば、似せることはできます。でも判断はできるようになりません。答えを渡しているからです。
「この現場、どこから割り付ける?」「なぜそこを開けておく必要があると思う?」。答えの代わりに問いを渡すと、その場では時間がかかります。しかし、問われて考えた経験の分だけ、自分で判断できる範囲が広がっていきます。
描ける人は、参考図面があれば育ちます。自走する人は、問いがないと育ちません。
普段、何気なくしている質問。もし部下との人間関係が上手くいっていないと思うのなら、まずは自分がどんな質問をしているのかを振り返ってみては如何でしょうか。
大規模修繕の仮設計画図から労基提出書類まで対応しています。
「自社で描けるようにしたい」というご相談も承っています。
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参考
本記事は上記の書籍を読んでいる途中で考えたことをまとめたものです。書籍の要約ではなく、内容の紹介でもありません。書かれている考え方については、ぜひ本書をお読みください。