施工図の作成を外部に委ねるBPO事業の売上が前四半期比で大きく伸びたという企業業績の記事。図面業務のアウトソース需要が数字で示されている。
建設DX関連のニュースで、スパイダープラスの施工図BPO(業務委託による代行)事業の売上が、前四半期比206.3%になったと報じられました。四半期の比較としては倍以上ということになります。記事が示しているのは企業業績の一点であり、内訳や受注元、対象となった建物用途までは触れられていません。ここで確かなのは「施工図の作成を外に出す動きが、決算の数字として観測できるところまで来た」という事実です。
足場図面を生業にしている立場から見ると、これは他社の業績ニュースではなく、自分たちの市場そのものの話です。以下、記事に書かれている範囲を事実として扱い、そこから先は私見として分けて書きます。
図面の外注は「描く人を借りる」話に見えて、実務上は「情報を渡す作業」が本体です。ここが整っていないと、外注しても工期が縮みません。
具体的に、大規模修繕のくさび緊結式足場の計画図で考えます。こちらが図面を起こすとき、最低限ほしいのは、①現況の立面・平面(バルコニーの出寸法とスラブ形状が分かるもの)、②改修範囲と施工順序(何面ずつ、どの向きに回すか)、③使う部材の手持ち(支柱の長さ構成、ブラケットの種類、階段か梯子か)、④足場を使う職種(塗装・防水・シールのどれが何を触るか)です。
この4点が揃っていれば、割付は一度で決まります。逆に④が後から出てくると、手すりの位置や内側の抱き寸法をやり直すことになり、支柱本数が変わり、数量拾いも見積も作り直しです。図面の手戻りは、図面だけで終わらず、そのまま部材の積算と現場の段取りに波及します。
つまり外注の効果は、CADを打つ速さよりも「誰が情報を集約して渡すか」で決まります。施工図BPOという言葉が伸びているとき、伸びているのは打ち手の供給であって、渡す側の整理力は自動的には上がりません。ここは発注する側の仕事として残ります。
以下は私見です。この数字は二つのことを同時に示していると受け取っています。
一つは、図面作成を社内に抱え続ける前提が崩れつつあること。職人が図面も描き、見積も作り、書類も出す、という体制は、人が一人抜けたら止まります。外注が数字として伸びているのは、止まるリスクを金で外に出す判断が普通になってきたからだと見ています。
もう一つは、外注が増えるほど「社内で図面を読める人」の価値が上がること。描く工程は外に出せますが、上がってきた図面が現場で成立するかを判断する役は外に出せません。壁つなぎの取り付け先が本当に取れるのか、昇降設備の位置が資材の搬入動線とぶつからないか、これは現場を知っている人間しか止められません。図面を外注する会社ほど、読む力を社内に残す必要がある、というのが私の立場です。
足建STUDIOがお受けしているのは、大規模修繕と解体工事の計画図です。くさび緊結式・単管・枠組み・次世代足場について、図面、数量に基づく見積、強度計算書、労基へ提出する書類までを一連で扱っています。描く部分だけを切り出すこともできますが、上記のとおり、情報の受け渡しの設計から一緒に決めたほうが手戻りが出ません。
あわせて、怪我などで現場を離れた職人に足場CADを教える月額サービスを準備中です。これは「打ち手が足りない」市場に対して、現場を分かっている人間を打ち手に変えるという考え方で組んでいます。外注需要が数字で見えたということは、この人材の行き先も数字で見えたということだと考えています。
図面の外注を検討されていて、何をどこまで渡せばいいか整理がつかない段階の方は、その整理からご相談いただいて構いません。
労基提出図一式、強度計算書、道路占用・使用図面まで対応しています。
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