結論から書きます。外注した仮設足場計画図で修正が繰り返されるとき、原因は作図の精度ではなく、確認のタイミングにあります。
図面そのものは間違っていない。ただ、発注した側が思い描いていた計画と違う。手戻りの大半はこれです。
納品された図面を開いて「思っていたのと違う」となる。ここで多くの人が「外注先の腕が悪い」と考えますが、図面を見返すと寸法も納まりも間違っていない、というケースがほとんどです。
起きているのはミスではなくズレです。同じ現場について、関わる人がそれぞれ別の計画を頭に描いたまま作図が進んでしまった、ということです。
ミスなら指摘すれば直ります。しかしズレは、図面が完成して初めて表面化します。そして表面化した時点では、すでに立面図も断面図も詳細図も描き上がっている。だから修正の量が大きくなります。
仮設計画図には、立場の違う3者が関わります。それぞれ持っている情報と、気にしている点が異なります。
| 立場 | 主に見ているもの | 持っていない情報 |
|---|---|---|
| 元請 | 工程、近隣対応、工事範囲、施主との約束 | 足場材料の制約、実際の組み方 |
| 足場業者 | 手持ち材料、人工、施工性、乗入れ動線 | 元請と施主の間で決まった細部 |
| 作図者 | 竣工図、現場写真、伝えられた条件 | 現場で口頭で決まったこと全般 |
ここで一番情報が少ないのが作図者です。竣工図と写真、そして最初のやりとりで聞いた内容しか手元にありません。
現場では当たり前になっている前提——「ここは搬入路だから塞げない」「この面は施主から養生を厚くしてくれと言われている」「今回は手持ちの材料の都合でこの足場種別」——こうしたことは、わざわざ言葉にされないまま進むことが多いものです。作図者に伝わっていなければ、図面には反映されません。
作図者が知らないことは、図面に描かれません。当たり前のようですが、手戻りの原因はほぼこれに集約されます。資料に書いていない前提が多い現場ほど、ズレは大きくなります。
多くの外注では、資料を受け取ったあと、納品まで連絡がありません。作図者は手元の情報だけで最後まで描き切り、完成品として提出します。
この進め方の問題は、間違った前提のまま全部が仕上がってしまうことです。平面の割付が想定と違えば、その上に積み上げた立面・断面・詳細のすべてが影響を受けます。1か所の認識違いが、図面全体の描き直しになります。
そして修正のやりとりが2往復、3往復と重なる。気づくと労基への提出期限が迫っている——という流れです。
経験上、認識のズレが起きやすいのは次のような箇所です。いずれも竣工図だけでは判断できず、現場側の意図を聞かないと決められない点である、という共通点があります。
これらは作図者が勝手に判断できないものばかりです。逆に言えば、着手前と作図の途中で一度確認できていれば、そもそも手戻りになりません。
なお、竣工図と現況がどれだけ食い違うか——増築された構造物、庭に置かれた倉庫、せり出したダクトなど——については、なぜ現地を見てから描くのかで具体的に書いています。
足建STUDIOでは、一括で仕上げて納品するのではなく、途中段階で共有しながら進めるやり方を取っています。比べると違いは明確です。
肝心なのは2番目です。平面の割付が決まった段階、つまり立面図や詳細図に入る前に一度見てもらう。ここでズレが見つかれば、直すのは平面図1枚で済みます。
逆にこの確認を飛ばすと、ズレは図面全体に波及したあとで発覚します。同じ間違いでも、見つかるタイミングで修正量が何倍も変わります。
途中で確認する分、連絡の回数は増えます。しかし合計の手間はむしろ減ります。納品後に「全体を描き直してもう一度確認する」ほうが、発注側にとっても確認の負担が大きいためです。
外注先を変えなくても、渡し方を変えるだけで手戻りは減ります。作図者に情報が届いていないことが原因なので、そこを埋めれば効果が出ます。
竣工図(平面図・立面図・断面図・矩計図・平面詳細図・階段詳細図)と現場写真(全景・屋上からの見下げ・狭小部)。狭小部の写真は特に効きます。図面では読み取れない、実際の離れや障害物が分かるためです。
意外と見落とされがちですが、これが有効です。決まっていない箇所が分かっていれば、作図者はそこを確定させてから進められます。黙っていると、作図者は勝手に想定して描き進めてしまいます。
労基提出の予定日が分かっていれば、逆算して途中確認のタイミングを組めます。「急ぎです」だけでは逆算できません。日付で伝えてください。
大規模修繕の仮設計画図から労基提出書類まで、途中共有型で対応しています。
「今の外注先で修正が多くて困っている」という段階のご相談でも構いません。
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注記
本記事は、大規模修繕を中心とした仮設足場計画図の作成経験にもとづく実務的な内容をまとめたものです。現場の条件や体制によって最適な進め方は異なります。個別の案件についてはお気軽にご相談ください。